切羽詰まったような声で彼が私の名前を呼ぶけれど、私はもう足を踏み外していた。
え、やだ、私また階段から落ちるの?
だめ! 今の私のお腹には聖一さんとの赤ちゃんがいるのに。
聖一さんと再会できたのは、歩道橋の階段から落ちたことがきっかけだった。あのときは自分ひとりの身体だったけれど今は違う。
咄嗟に手すりを掴もうと手を伸ばしたものの、するりと虚しく宙を掻く。
もう終わりだ。絶望の淵に立たされたそのとき。
階段から転げ落ちて激しく地面に身体を打ち付けるような衝撃を覚悟していたけれど、予想外にもふわりと抱き留められる感覚に包み込まれた。
「しっかりしろ!」
耳元で大きな声がして、ギュッと固く閉じていた両目を恐る恐る見開く。
「大丈夫か?」
声をかけられて瞬きをすれば、聖一さんの顔が飛び込んできた。
あれ……? どこも痛くない。
え、やだ、私また階段から落ちるの?
だめ! 今の私のお腹には聖一さんとの赤ちゃんがいるのに。
聖一さんと再会できたのは、歩道橋の階段から落ちたことがきっかけだった。あのときは自分ひとりの身体だったけれど今は違う。
咄嗟に手すりを掴もうと手を伸ばしたものの、するりと虚しく宙を掻く。
もう終わりだ。絶望の淵に立たされたそのとき。
階段から転げ落ちて激しく地面に身体を打ち付けるような衝撃を覚悟していたけれど、予想外にもふわりと抱き留められる感覚に包み込まれた。
「しっかりしろ!」
耳元で大きな声がして、ギュッと固く閉じていた両目を恐る恐る見開く。
「大丈夫か?」
声をかけられて瞬きをすれば、聖一さんの顔が飛び込んできた。
あれ……? どこも痛くない。



