――ごめん、真希。本当は園部が俺の婚約者なんだ。

――だから……別れて欲しい。

――いや、やだ、聖一さん、行かないで!

――私……もしかしたら聖一さんとの間に赤ちゃんが――。

「ちょっと、ねぇ、大丈夫?」

「っ!?  え、あ……」

肩を揺さぶられ、バチッと目を見開く。

気がつくと私はベッドに寝かされていて、心配げに見下ろしていたのは友梨佳先生
だった。

「ずいぶんうなされていたから、起こしたほうがいいと思って」

彼女の向こうには見知らぬ天井、そして私の腕には点滴の管が繋がっていて輸液バッグから何かの液体がポタポタと滴下しているのが見えた。

ここは、病院? それにしても嫌な夢だったな……。

息も苦しくなるような夢だった。けれど目を覚ましたと同時に内容がぼやけてはっきりと思い出せない。