父は脳出血を発症してから急性期を経て三年は経過しているけれど、その間、療養型の病院を転々としていた。医療点数が引き下げられて病院運営にマイナスが生じるため、現実問題、同じ病院に三ヵ月以上の長期入院は難しいのだ。そのことで母も精神的に参っていたところ、なんとか慢性期の治療ステージにある父が入院期間に制限なく療養できる地方の病院を紹介してもらい、母もその病院の近くに最近東京から引越ししたばかりだ。
やっと安定した生活に慣れてきたところなのに、母に私のことで心配なんかかけたくない。
「そうは言ってもなぁ、脳震盪の場合、なるべく二十四時間はひとりでいることを避けたほうがいい。頼れそうな親戚とかいないのか? その……彼氏、とか」
なんだか私に恋人がいるのかどうか探りを入れられたみたいな気がしたけれど、きっと気のせいだ。
「彼氏なんていません。友達にも迷惑かけたくないので」
相良さんを困らせたくてこんな駄々をこねているわけじゃない。脳震盪だっていっても大げさだ。きっと大丈夫。そう思って、「やっぱり帰ります」と口を開きかけたときだった。
「うっ」
やっと安定した生活に慣れてきたところなのに、母に私のことで心配なんかかけたくない。
「そうは言ってもなぁ、脳震盪の場合、なるべく二十四時間はひとりでいることを避けたほうがいい。頼れそうな親戚とかいないのか? その……彼氏、とか」
なんだか私に恋人がいるのかどうか探りを入れられたみたいな気がしたけれど、きっと気のせいだ。
「彼氏なんていません。友達にも迷惑かけたくないので」
相良さんを困らせたくてこんな駄々をこねているわけじゃない。脳震盪だっていっても大げさだ。きっと大丈夫。そう思って、「やっぱり帰ります」と口を開きかけたときだった。
「うっ」



