「十年も聖一さんのこと忘れられなかったんだから、私の気持ちは変わりませんって伝えたら安心したみたいです」

精いっぱい努力して作った笑顔を向けたら、聖一さんも「そうか」とホッとしたように微笑んでくれた。けれど、その笑顔が私の胸をチクリとする。

「まったく、そんな余計な心配しなくてもいいのにな」

「ふふ、やっぱり親ですから心配になりますよ」

「真希はそんな心配するような女性じゃない、なんせ俺が選んだんだからな」

そう言って聖一さんが軽く私の唇にキスをする。

「まずいな、スイッチが入った」

「え? きゃっ」

ずいっと聖一さんの顔が近づいてきたかと思ったら、そのままソファに押し倒される。

「何年離れ離れになろうと、俺たちは必ずまた巡り合える。現にこうして十年越しでお前に会えたんだからな」

聖一さんの言葉を聞きながら、数時間前に聖一さんのお父様から言われた言葉が脳裏に蘇る。