怜悧な外科医の愛は、激甘につき。~でも私、あなたにフラれましたよね?~

「わかった。玄関で待ってる」

そう言い残し、ソファから立ち上がる前に聖一さんは私の手をそっと握って応接間を後にした。

「さて」

室内に異様な空気が漂い始める。腰をもぞもぞと動かしてソファに座りなすと、お父様が先に口を開いた。

「聖一がアメリカへ行っている間、会うことも連絡を取り合うことも禁止だと言ったが……あいつがあの手この手で君に会いに来ようとしても、それを拒否することができるかい?」

お父様がひじ掛けに肘をつき、爪を噛むような仕草で指先を口元に充てる。

「聖一には有意義な三年間を過ごしてもらいたい。だから色恋に現を抜かしている余裕などないんだよ。わかるね?」

「はい」