怜悧な外科医の愛は、激甘につき。~でも私、あなたにフラれましたよね?~

落ち着きのなさを誤魔化そうとして後頭部に手をあてがってみると、ジクジクした痛みに顔が歪む。

「あーいじるないじるな。切れてはいないがまだ打った所が痛むはずだからな。脳震盪を起こしたんだ」

「のう、しんとう?」

きょとんとする私に相良さんが小さく頷く。

「頭部外傷による一過性の意識または記憶障害、混濁が主な症状だが脳にダメージがいくと、後々いろんな障害が出てくる」

「麻痺、とかですか?」

父が脳出血で倒れたとき、少しでもその病気のことが知りたくてネットであれこれ調べ漁ったことがあったから、脳障害に関しては多少の知識はある。

私、かなり頭を打ったんだ……。はぁ、ほんとドジだよね。

「ああ、麻痺もそうだが、最悪硬膜下血腫の症状が出てくる可能性がある。だから一ヵ月か二ヵ月は経過観察が必要だ」

え? そんなに?