怜悧な外科医の愛は、激甘につき。～でも私、あなたにフラれましたよね？～

慶華医科大学附属病院は、新宿区にある国立大学法人の医療機関で近年では難治療の臨床研究なども盛んに行われていて、ホテル並みのセキュリティーとサービスに長けた高級病院としても知られている。

「相良さんは、ここの医者なんですか？」

メルディーに勤務してもう何年か経つけれど、慶華医科大学附属病院に相良聖一という脳神経外科のドクターはいなかったはずだ。

「一年の契約で先週から脳神経外科の常勤専門医としてここで働いてるんだ」

相良さんの実家の稼業もまた“相良総合病院”という都内でもかなり大規模な病院運営をしていて、慶華医科大学附属病院と同様に高度な最新医療の提供ができる医療機関だと定評がある。彼のお父様が現在院長を勤めていて、相良さんはそこの次期院長だ。

「そうだったんですか……」

相良さんは「久しぶりだな」と笑ってくれたのに、私はいまだに相良さんに再会したのだという実感がなくてそわそわと落ち着かない。

先週からここの病院で働いてたんだ。全然知らなかった。

ッ!?　じ、じゃあ……相良さんと同じ職場ってことだよね？

これもただの偶然だっていうの？　あぁ、やっぱり信じられない！