怜悧な外科医の愛は、激甘につき。~でも私、あなたにフラれましたよね?~

きっとこれは夢なんだ。絶対夢!

今日はやけに相良さんのことばかり考えてたし!

「おい、今尋ねた質問の意味がわかるか?」

話しかけても返事のない私を怪訝に思ったのか、彼が私を覗き込む。

「え、あ、えっと……」

「まだ意識が混濁しているようだな、自分の名前と年齢、生年月日は?」

そう問われ、動揺を隠しきれずたどたどしく答えると彼はニッとした。

「やっぱりお前か、大通りの歩道橋の階段から転げ落ちて、そのとき後頭部を強打してここへ運ばれてきたんだぞ」

相良さんも私が本当に小野田真希なのか、本人の口から確認が取れるまで半信半疑だったらしい。
友人と別れて雨降りの中、歩道橋を歩いていたところまではなんとなく覚えてるけど、そのあとのことはまったく記憶にない。

「それにしても、久しぶりだな」

私だとわかった瞬間、相良さんはホッとしたような柔らかな笑みを浮かべた。