「とにかく、このことはみんなに秘密にしないとね。特に友梨佳先生には」
「友梨佳先生? って、心臓血管外科医の?」
慶華医科大学付属病院院長のひとり娘、園部友梨佳先生はみんなから“友梨佳先生”と呼ばれて親しまれている。歳は三十でまだ未婚らしいけれど、誰が見ても美人でスタイルもよく、セクシーな白衣の胸元からは高価なブランドアクセサリーがちらりとよく覗いている。さらに心臓血管外科の名医として、遠方からの手術希望者が多数この病院へやってくるという人気ぶり、まさに才色兼備だ。
「こう言っちゃなんだけど……ここだけの話、友梨佳先生あんまりいい噂聞かないからねぇ」
確かに、友梨佳先生は綺麗な見た目とは裏腹に、自分の仕事を看護師に押し付けたり大事なカンファレンスをドタキャンしたりとかなりわがままな一面があるという話は前々から知っている。院長の娘ということもあってか、誰も直接本人に文句を言えず一部の職員からは煙たがられていた。
「相良先生って友梨佳先生の先輩みたいなのよね、友梨佳先生も相良先生のこと絶対狙ってると思うわ」
「そ、そうなんだ」
友梨佳先生も相良さんのことを?
ううん、でも今付き合っているのは私なんだから、余計な心配しちゃだめだよね。
心配するということは、相良さんのことを信用していないのと同じだ。それに由美のことで誤解が解けたばかりだし。
「真希ってば、そんな顔しないでよ、愛しの王子様に妙な虫がつかないか私がちゃんと見張っといてあげるから」
無意識で暗い顔になっていた私の肩を、真美子が明るくポンポンと叩く。
「妙な虫って……そんな見張らなくても大丈夫よ、それに相良さんとは毎日会えるし」
「うわっ、なにそれ、ノロケ?」
「ち、違っ!」
真っ赤になって抗議する私に真美子が茶化すようにクスクスと笑う。別にノロケたつもりはなかったけれど、こんなふうに自分の恋の話を友人にできて心の底から嬉しかった。
「友梨佳先生? って、心臓血管外科医の?」
慶華医科大学付属病院院長のひとり娘、園部友梨佳先生はみんなから“友梨佳先生”と呼ばれて親しまれている。歳は三十でまだ未婚らしいけれど、誰が見ても美人でスタイルもよく、セクシーな白衣の胸元からは高価なブランドアクセサリーがちらりとよく覗いている。さらに心臓血管外科の名医として、遠方からの手術希望者が多数この病院へやってくるという人気ぶり、まさに才色兼備だ。
「こう言っちゃなんだけど……ここだけの話、友梨佳先生あんまりいい噂聞かないからねぇ」
確かに、友梨佳先生は綺麗な見た目とは裏腹に、自分の仕事を看護師に押し付けたり大事なカンファレンスをドタキャンしたりとかなりわがままな一面があるという話は前々から知っている。院長の娘ということもあってか、誰も直接本人に文句を言えず一部の職員からは煙たがられていた。
「相良先生って友梨佳先生の先輩みたいなのよね、友梨佳先生も相良先生のこと絶対狙ってると思うわ」
「そ、そうなんだ」
友梨佳先生も相良さんのことを?
ううん、でも今付き合っているのは私なんだから、余計な心配しちゃだめだよね。
心配するということは、相良さんのことを信用していないのと同じだ。それに由美のことで誤解が解けたばかりだし。
「真希ってば、そんな顔しないでよ、愛しの王子様に妙な虫がつかないか私がちゃんと見張っといてあげるから」
無意識で暗い顔になっていた私の肩を、真美子が明るくポンポンと叩く。
「妙な虫って……そんな見張らなくても大丈夫よ、それに相良さんとは毎日会えるし」
「うわっ、なにそれ、ノロケ?」
「ち、違っ!」
真っ赤になって抗議する私に真美子が茶化すようにクスクスと笑う。別にノロケたつもりはなかったけれど、こんなふうに自分の恋の話を友人にできて心の底から嬉しかった。



