怜悧な外科医の愛は、激甘につき。~でも私、あなたにフラれましたよね?~

「お疲れのところすみません、あの……」

「うん?」

向かいのソファーにどかりと腰掛け、相良さんは長い足を組むとじっと私を見据えた。

「やっぱりお前、昨日から変だな」

同じことを昨夜も言われた。私の様子がおかしいことは相良さんも気づいている。そしてゴクリと喉を鳴らすと膝の上で拳を握った。

「相良さん、ごめんなさい」

ペコリと頭を下げて、しんと静まり返った部屋に自分の声が響く。いつまでそうしていたかわからないけれど、しばらくしてから相良さんの長いため息が聞こえた。

「いいから、頭上げろ」

「はい」

「で、それは何に対しての“ごめんなさい”なんだ?」

のろのろと頭をあげてゆっくりと視線を相良さんに移すと、彼は怒っているでもなく困っているでもなく、なにを考えているか窺い知れない表情をしていた。

「昨日の私の態度です。子どもっぽいヤキモチなんか妬いて……」

「ヤキモチ?」

すると、今まで表情のなかった相良さんの顔がポカンとする。何か言いたげに口を開いたけれど、私はそのまま話を続けた。

「その、相良さんがほかの女の人、しかも私の友達とデーとに行くって聞いたら……なんかモヤモヤしちゃって、そりゃ、相良さんは院内でもモテるし由美みたいに外部の人からも人気があって、私となんてって思ったら変に考えてしまって」

「おい、おいおい、ちょっと待て」