〜*伊吹side*〜


凛花さんと付き合って1ヶ月。


俺は仕事において怒涛の日々を過ごしていた。



あれから程無くしてドラマの撮影が始まった。

初めての本格的な芝居の仕事に慣れるには
相当な時間がかかり
思い悩む時間も増えた。


ドラマの番宣で、
バラエティーに雑誌の取材に
朝の情報番組の生出演にと
ほとんど休みのない日々。



2ヶ月後にはライブツアーを控えている。



売れなかった時期のことを考えると
こうしてたくさんの仕事を頂けることに
嬉しく思う反面、

気持ち的にはどの仕事も
手を抜きたくないし頑張りたいのに、
身体がついていけていない、
そんな状況になりつつあった。



きついなぁ。

凛花さんにも付き合えた日から
1度も会えていない。



1日1回は連絡を取るようにしているけど
だいぶ寂しい思いをさせているのは分かってる。



いつも凛花さんへメッセージを送ると、
俺が送ったことへの返事と
体調を気遣ってくれる文面だけ
送ってきて手短にやり取りを
終わらせようとしてくる。



たぶん凛花さんなりの気遣い。
我慢させてると思うと心苦しいし
会えないのが何よりも俺にとってのストレスで。
だいぶ気が滅入る。




「一旦休憩だな!飯いこうぜ〜!」



今日はツアーに向けて
久しぶりにメンバー5人が揃って打ち合わせ。



キリの良いところでお昼休憩になった。



「今日食堂にしよ〜。」



新が俺を見てニヤニヤしながら言い出す。

「伊吹さん、彼女いるんじゃないすか?笑
最近会えてないっすよね??そうしましょそうしましょ!」


他のメンバーも乗り気でそういう。


相談にのってくれていたメンバーには
付き合うことになったことを
報告していた。



みんな喜んでくれて
面々食堂に行くたび、
見かけたら報告をしてくれる。


肝心の俺は忙しすぎて
全くもって最近凛花さんを見れていなかった。




メンバーの気遣いに感謝しながら
みんなで食堂へと向かった。