また私に呆れたらしく、美緒が半目になった。
 
「そ、そう?」

「まー、でもよく考えたら柚葉の言う通りかもね。振られた相手を一年も好きでいるような男子高校生なんて、いないかあ。高校生の恋愛なんて、刹那的だもんねえ」

 溜息交じりに、どことなく年増な言い回しをする美緒。

「自分が高校生じゃないみたいな目線で言うねえ」

 私がそうからかうと、美緒は「ふっ」と芝居がかった大人っぽい笑みを浮かべてみせる。

「私は中学でそういうのは卒業したの。今は落ち着いた長く続く恋愛をしたいんだもん」

 そうそう、美緒は中学生の時にすでに何人かと交際済みで、今では落ち着いた大人っぽい人がタイプ、とよく主張している。

 だからなのか、どこか同級生の恋愛模様を達観して見ている節がある。

「私もそんな風に、冷静に自分の恋愛を考えたいなあ……」

 周りに流されない恋愛観を持っている美緒を、羨ましく感じてしまう私。

 私なんて、男の子を女の子だと思い込んでいたなんていう、馬鹿みたいな勘違いから始まって……。

 まだその勘違いからの気持ちを抜け出せていないという、落ち着きとは程遠い状況だよ。