これにて一件落着とその時思った私は、今の今までこの騒動について忘れていた。

 二年生になって、私は一組、健吾くんは八組っていうクラス分けになって、校舎も別になったからほとんど会わなくなったし……。

「健吾くんかなりしつこかったし、『恋愛に興味持てるようになったら俺と付き合って』なんて言ってたじゃない? だから美緒と律くんの噂を知ったら、やばそうな気がするんだよね。なんで他の奴と付き合うんだ!って思わないかなって」

 美緒が不安げな顔をする。

 確かに健吾くんはそう言っていたけれど……。

「うーん。でももう一年くらい時間経ってるしなあ。健吾くん、すでに私への気持ちなんてないんじゃない?」

 そもそも、なんで健吾くんが私を好きになったんだろうって今だって思う。

 告白された時だって「もしかして罰ゲームか何か?」だなんて一瞬考えたくらいだったしね。

 いまだに何かの間違いなんじゃないかって気持ちがあるから、あれから健吾くんが私を好きで居続ける可能性なんてとてつもなく低そうに思えた。

「まったく柚葉ってば呑気なんだからもう……」