ぶっちゃけ美緒は「もう早く付き合えばいいのに」って思ってるし、たまにそんなことも言ってくるけど、過度に私を急かすようなことは言わない。

 のんびり屋でよく考えてからでしか行動ができない私のことを、本当によくわかってくれている。

「だからどうすればいいか、まだわからなくて……」

「そっかー。まあ、律くんもはっきり好意を示してくれてるけど、柚葉の気持ちが変わるのを待っててくれてるみたいだもんね。なら、ゆっくり考えていいんじゃない?」

「そうかなあ……」

 なんだかそろそろりっちゃんにも申し訳なくなってきたんだよね……。

 でも適当な気持ちで付き合うのはもっと失礼だし、やっぱり美緒の言う通り今は考えるしかないかあ。

「まあ、あんたのことを大好きな律くんはいくらでも待つと思うんだけどさ。ふたりのこと、すごく噂になっちゃってるから、ちょっと心配なんだよね」

 美緒が表情を曇らせて言う。

「え、何が?」

 美緒が何を心配しているのか分からなくて、私が尋ねると。

「ほら、一年の時に柚葉に告白してきた健吾くんっていたじゃん。あの人、結構粘着質だったじゃない?」