皆が注目する中、りっちゃんは淡々とこう言った。
「音楽の授業中、俺だって短時間だけど音楽室から出たよ。具合悪くなった山本を保健室に連れて行った時。だから俺だって容疑者なわけだけど」
まさか、自分から「疑わしいのは俺も」と名乗る人がいるなんて、クラスのみんなは思わなかったみたい。
みんな、りっちゃんに驚いたような眼差しを向けている。
――すると。
「り、律くんは絶対に違うからっ!」
岩倉さんがとても狼狽えた声を上げる。
彼女の目的は私を盗難の犯人に仕立て上げること。
そこに彼女が恋焦がれているりっちゃんが茶々を入れてきたのだから、焦るのも無理はない。
「なんで?」
りっちゃんは、そんな岩倉さんの思惑をわかっているのかいないのか(たぶん分かっている)。
とぼけた面持ちで、首を傾げる。
――しかし。
「と、とにかく! 綾瀬さんは机の中とかバッグの中を見せなさいよっ!」
綾瀬さんが大声でそう叫ぶと、クラス中の視線が私に集まった。
もはや逃れられない雰囲気を察し、私は震える手で机の中にあった封筒を取り出す。
「音楽の授業中、俺だって短時間だけど音楽室から出たよ。具合悪くなった山本を保健室に連れて行った時。だから俺だって容疑者なわけだけど」
まさか、自分から「疑わしいのは俺も」と名乗る人がいるなんて、クラスのみんなは思わなかったみたい。
みんな、りっちゃんに驚いたような眼差しを向けている。
――すると。
「り、律くんは絶対に違うからっ!」
岩倉さんがとても狼狽えた声を上げる。
彼女の目的は私を盗難の犯人に仕立て上げること。
そこに彼女が恋焦がれているりっちゃんが茶々を入れてきたのだから、焦るのも無理はない。
「なんで?」
りっちゃんは、そんな岩倉さんの思惑をわかっているのかいないのか(たぶん分かっている)。
とぼけた面持ちで、首を傾げる。
――しかし。
「と、とにかく! 綾瀬さんは机の中とかバッグの中を見せなさいよっ!」
綾瀬さんが大声でそう叫ぶと、クラス中の視線が私に集まった。
もはや逃れられない雰囲気を察し、私は震える手で机の中にあった封筒を取り出す。



