好きにさせるから、覚悟しろよ ~再会した幼なじみがめちゃめちゃ迫ってきます〜

 そんなこと言ったって、私は実際に盗んでいないんだからお金なんてあるわけない……と思った私だったけれど。

 机の中に手を入れたら、見慣れない封筒が入っていた。

 触った瞬間、チャリンと小銭がぶつかる音が響く。

 な、何これ……。

 こんなの、知らない。

 青ざめる私に、岩倉さんは「ほら、早くしてよ」と勝ち誇ったような顔で急かす。

 その表情で私は察した。

 たぶん、岩倉さんが私の机の中に入れたんだって。

 最近、私のガードが堅いから、彼女は思うように嫌がらせができていなかったはずだ。

 その苛立ちを、私を盗人にすることで解消しようとしたのだろう。

 でもまさか、こんなことまでするなんて……。

 机の中に手を入れたまま、固まってしまう私。

 そんな私の様子を見て「まさか綾瀬さんが犯人?」「えー、マジ?」なんて、クラスメイト達からも疑いの目が向けられる。

 ――ど、どうしよう。

 そんな風に私が、途方に暮れていると。

「ちょっと待ってよ」

 教室内に涼やかで心地のいい声が響いた。

 それまで事態を静観していた、りっちゃんの声だった。