好きにさせるから、覚悟しろよ ~再会した幼なじみがめちゃめちゃ迫ってきます〜

 最近の出来事のせいで、彼女が出てきたことになんとなく嫌な予感がしてしまう私。

「た、たぶん……」

 追及されたからか、田中くんは自信なさげに頷く。

「ふーん。じゃあ音楽の時に居なかった奴が怪しいじゃん。……あれ、でも今日は欠席がいないし……。遅刻した綾瀬さんだけじゃない? 音楽の授業中、うちのクラスにいなかったの」

 岩倉さんが私の方を見て、とんでもないことを言った。

 驚いてすくみ上る私だったけれど、岩倉さんはニヤついている。

 えっ、何これ……?

 私、疑われてる⁉

「は⁉ 柚葉がそんなことするわけないじゃん!」

 私が何か言う前に、美緒が岩倉さんに詰め寄って食って掛かるように叫ぶ。

 確かに状況的には私が一番怪しいには違いない。

 だけど弁明も何もしていないのに、「そんなわけない」と美緒は私を信じてくれたのだ。

 美緒の全幅の信頼が、とても嬉しかった。

 ――だけど。

「じゃあバッグの中とか机の中とか、見せてよ。そうすれば綾瀬さんの疑いも晴れるじゃん?」

 相変わらずいやらしい笑みを浮かべながら、岩倉さんが言った。