好きにさせるから、覚悟しろよ ~再会した幼なじみがめちゃめちゃ迫ってきます〜

「今朝、みんなから今度産休でいなくなる化学の先生のプレゼント代集めたじゃん⁉ それがなくなってんだよ!」

 と、田中くんが焦った声で答える。

 え、じゃあお金が無くなったってことだよね……?

 それは大変な事件だな、と私も心配になった。

 クラスメイトのみんなも、ざわざわと騒ぎ出した。

「マジ!? めっちゃやべーじゃん。いつから無いの?」

「二時間目の音楽が始まる前まではあったと思う……! 音楽室に行っている間に、盗まれたのかな⁉」

 田中くんの言う通り、音楽の授業は音楽室で行われる。

 つまり教室はその時間無人になるため、盗みを働くとしたらとても都合のいい状況になるというわけだ。

 だけど、遅刻して学校に来たばかりの私は、プレゼント代をまだ田中くんに渡していなかったので、関りは薄い。

 泥棒がいるかもしれないこの状況には不安を抱きつつも、「早く無くなったお金が見つかるといいなあ」と、どこか呑気な気分でいた。

 ――だが、しかし。

「田中。もう一度聞くけど、音楽の授業の前はあったんだよね?」

 田中くんにそう尋ねたのは、岩倉さんだった。