好きにさせるから、覚悟しろよ ~再会した幼なじみがめちゃめちゃ迫ってきます〜

 だけど岩倉さんはりっちゃんのことが好きすぎて、私に嫌なことをしてくるんだ。

 だからりっちゃんに直接言われたら、岩倉さんがすごく惨めな気持ちになってしまう気がした。

 なんとなくそれは気が引けてしまう。

 それにもしかしたら「告げ口した!」って憤って、嫌がらせがエスカレートしてしまう可能性も出てくるかも……。

 そう考えた私は、首を横に振った。

「ありがとうりっちゃん。……でも、いいよ。誤魔化されちゃうかもしれないし……」

「そう? でも俺はゆずが心配だよ」

「うーん……。私も今後はできるだけやられないように、気を付けるから」

「そっか、ゆずがそう言うのなら。でもやっぱり、腹立つな」

 あまり表情を変えないりっちゃんが眉間に皺を寄せてぼやく姿は、本当に私の身を案じてくれているんだなって感じられた。

 嫌がらせは嫌だけど、りっちゃんが味方でいてくれるなら些細なことに思えた。

 そしてその次の日から、私は貴重品はなるべく肌身離さず持ち歩くことにした。

 そのほかの私物はロッカーにしまい、鍵をかけて守った。