「あはは。昔からゆずは隠し事が苦手だよな」

 そんな私のドジを、りっちゃんは笑う。

「で、でも本当になんでりっちゃんは分かったの? 嫌がらせの犯人が、岩倉さんらしいってこと……」

 決まりの悪さを覚えながらも、私がそう尋ねると。

 りっちゃんは顔をしかめて断言するようにこう言った。

「なんとなくだけど、見れば分かるよ。あの人よくゆずのこと睨んでたし」

「そ、そうだったんだ……」

 確かに、岩倉さんはふとした瞬間に私を鋭い視線を送っていることがよくあった。

 でも直接睨まれているわけでもないりっちゃんが気づくなんて。

 私のこと、よく見ててくれてたのかな……?

 そう考えたら嬉しくなってしまった。

 ……って、そうだって決まったわけじゃないけど。

「どうする、ゆず。俺が直接あの人になんか言ってやろうか? いい加減にしてくれないって」

 私を見つめて、りっちゃんが頼もしいことを言ってくれる。

 男の子に、しかも岩倉さんが一目ぼれしたらしいりっちゃんが釘を刺したら、確かに嫌がらせは終わるかもしれない。