その後も、教科書やノートがなくなったり、下駄箱に置いていた上履きに水が入っていたりとか、嫌なことが続いた。

 ひとつひとつはそこまで大きなダメージを受けるようなことではなかった。

 でも毎日一回は嫌な目に遭う状況が続いて、次第に私は辟易してきてしまっていた。

 まあ、困ったことがある度にりっちゃんや美緒が助けてくれたから、なんとか耐えられた。

 ――だけど、ある日の帰り道のこと。

「これもう、明らかに嫌がらせだよね」

 ついにりっちゃんがそう指摘した。

 優しいりっちゃんは、誰かを疑うようなことはしたくなかったみたいだけど、さすがに連日の出来事に、そう思わざるを得なくなったみたいだ。

「……腹立つ」

 とても不機嫌そうな声で言い放つ。

 本気で怒っているようだった。

「……うん。そうだと思う」

 それまではりっちゃんに心配をかけたくなくて、「教科書が無いなー。家に忘れたのかな」なんて誤魔化していた私だったけれど。

 上履きに水を入れられていた件は自分の勘違いでは済まなかったし、ひっきりなしに続く嫌がらせに能天気なことは言っていられなくなった。