「でも美緒もさー。理想が高すぎて、学校に好きな人いないじゃん」

 私がそう言うと、美緒は苦笑いを浮かべた。

「だって私大人っぽい人がいいんだもん。高校生にはなかなか私のお眼鏡にかなう人はいないわけよ~」

 と、開き直る美緒。

 本人も言っている通り、美緒は落ち着いた大人の男性が好みだそう。

そうすると同世代の男子は彼女のストライクゾーンには収まらないらしい。

 美人で社交的な美緒は、中学生の時にだいたいひと通りの恋愛を経験してしまったんだとか。

 そのせいで、もう浮ついた感じではなく地に足が付いたような恋がしたいんだって。

「そんなの、恋愛に興味がない私と似たようなものじゃない?」

「えー! 柚葉とは全然ちがうよっ! 私は常に理想の人がいないかアンテナを張り巡らせてるんだからね!?」

「でも見つかった試しないじゃん~」

 私が冗談交じりに言うと、美緒が「あはは、そうなんだけどね」と笑う。

 そんな会話をしていると、朝のホームルーム開始のチャイムが鳴って、同時に先生が入ってきた。

 慌てて席に着く私と美緒。