好きにさせるから、覚悟しろよ ~再会した幼なじみがめちゃめちゃ迫ってきます〜

「あ、じゃあ俺が特盛カツ丼食べるから、ゆずはこっちを食べなよ。天ぷらそば」

「えっ!?」

 思ってもみないりっちゃんの提案に、私は驚きの声を漏らす。

「天ぷらそば嫌いだった?」

 首を傾げるりっちゃん。

「え……。ううん、好きだけど。特盛カツ丼、かなり量が多いよ? 交換してもらうなんて、りっちゃんに申し訳なくて……」

 おずおずと私が言うと、りっちゃんは「ふっ」と余裕のある笑みを浮かべた。

「体育で腹減ってるから特盛なんて余裕だよ。むしろ天ぷらそばじゃ足りないかもって思ってたくらい」

「そ、そう?」

「うん。食券買ってくれる?」

 りっちゃんに促されて、特盛カツ丼の食券を買う私。

 たまたま特盛カツ丼と天ぷらそばの値段は同じだった。

 そして特盛カツ丼の食券をりっちゃんに手渡し、私は天ぷらそばをお盆ごと受け取った。

「ありがとう、りっちゃん」

「別にいいよ、これくらい」

 心からのお礼を言った私だったけれど、りっちゃんは短くそう言って、特盛カツ丼を受け取りに行ってしまった。