りっちゃんは同じチームのメンバーとハイタッチをし、いつもはクールな顔が笑顔になっていた。

「律くん運動神経もいいんだね~」

「なんか頭もいいらしいよ! マジかっこよくない!?」

 そんな声が、同じく休憩していた女子たちから聞こえてきた。

 それについては全力で同意できる私。

 だってりっちゃんは、小学生の時からやることなすことかっこよかったもん……!

 高校生になった今でも、りっちゃんのかっこよさは健在なんだなあ。

 でもあの頃、私はりっちゃんを女の子だと思っていたわけで。

 しかも、男の子だったりっちゃんは私をずっと好きでいてくれていたらしくて。

 そんな事情があるから、昔のように「りっちゃんかっこいい!」と素直に言うのが憚られてしまう。

「うわー。確かにありゃかっこいいなあ~」

 バスケで活躍するりっちゃんを目にして、感心したように美緒が言う。

「う、うん」

 照れながらも頷くと、りっちゃんとはたりと目が合った。

 するとりっちゃんは微笑み、小さく私に手を振ってくれた。

 突然のことに驚くも、恐る恐る手を振り返す私。