好きにさせるから、覚悟しろよ ~再会した幼なじみがめちゃめちゃ迫ってきます〜

 そう言われて、女子のみんなを見てみると、美緒の言う通り袖を余らせた体操着を着ている子たちをちらほら見かけた。

 確かに、彼氏持ちの子ばっかりオーバーサイズの体操着を着ている。

「そうなんだ。全然知らなかったなあ」

「柚葉ってば本当に疎いんだから~」

「はあ……。でもりっちゃんだってそんなこと知らずに私に貸したと思うよ」

 まだこの学校に来たばかりのりっちゃんが、うちの学校独自の恋愛の文化なんて知るわけがない。

 だからりっちゃんの行動には深い意味はないはずだけど……。

「知らないのに自然とやっちゃうからすごいんじゃん! 奇跡だよ! 運命だわー!」

 相変わらずテンション高く美緒は言う。

 奇跡だとか運命と言うよりは単なる偶然なのに、なんだかやけに盛り上がってるなあ……。

「あ、あはは……」

 これ以上何か言っても美緒の興奮は収まりそうもないので、私は曖昧に笑う。

 ――すると。

 少し遠くから視線を感じた。

 私はその気配がした方に顔を向ける。

 岩倉さんが私の方を見ていた。