勇気を振り絞って言ったのに、なおも食い下がって来る岩倉さん。

 「あたしら友達でしょ」って……。

 今まで私たちほとんど話したことも無いのに。

 そんな間柄で友達って言えるのかな?

 都合のいい時だけ友達扱いしてくる岩倉さんに、私は不信感を抱く。

「ごめん岩倉さん。やっぱり譲れないや」

 再度私が拒否すると、岩倉さんはとても苛立ったような顔をしてぷいっと私から顔を背けた。

 そしてつかつかと早足で廊下を歩いて、去って行ってしまった。

 あー、あれは絶対怒ってるよね……。

 でも譲れないものは譲れないし、仕方ないよね。

 そういう風に私が考えていると、ガラッと職員室の扉が開き、りっちゃんが中から出てきた。

「お待たせゆず。なんか、さっき誰かと話してなかった?」

「えっ。中まで聞こえてた?」

 りっちゃんの隣の席を巡る岩倉さんとの攻防を本人に聞かれていたら気まずいなあ……。

 焦ってそう尋ねる私だったけれど。

「いや。話の内容までは聞こえなかったけど、ちょっとゆずの声が聞こえてさ。何話してたの?」

 りっちゃんの回答に、胸を撫でおろす私。