「うーん。でも柚葉が律くんを好きなことには変わりないんだよね? 友達としてかもしれないけど」

 あわあわしている私に対して、冷静な口調で美緒が言う。

 外見は派手目美人の美緒だが、その容姿に反して意外に理知的なところがある。

 予期しないハプニングが起こると私は慌ててしまうことが多いけれど、美緒は落ち着いて対処法を考えられるタイプだ。

「うん……。それはもちろん」

 私は深く頷いた。

 りっちゃんが男の子だったことについてはいまだに驚きが収まらないけれど、何度考えても私が氷室律という人を大好きだということは、確かだった。

 私の回答に、美緒は頬を緩ませる。

「だったらもう難しく考えなくてよくない?」

「どういうこと?」

「好きは好きなんだから、付き合えっちゃえばいいじゃんって言ってるの。なんとも思っていない人に告白されて試しに付き合う人だっているんだしさ」

「えっ……。うーん」

 言われてみれば、確かにそれはそれでありなのかなあって思えた。

 付き合っていくうちに好きになるような恋愛の仕方だって、別に悪いわけじゃないし。