はっとして黒板を見たら、なかなかの難問だった。

 そもそも私たちの学校は、この辺りでは進学校として知られていて、偏差値がかなり高い。

 中学の時、並の成績だった私は死に物狂いで勉強してなんとか入学できた学校だ。

 なんでそこまで必死になってこんなレベルの高い学校を受験したかと言うと、りっちゃんに会うためだった。

 だってりっちゃんがアメリカから戻ってきたら、たぶんこの学校に入るだろうって思っていたから。

 塾でトップを一度も譲ったことがないほど、りっちゃんは頭が良かったからね。

 だからこの学校にいれば、りっちゃんに再会できるって私は信じてたんだ。

 まあそういうわけで、なんとか受験をパスして入学できた私だったけれど、常に授業についていくのに必死だった。

 進学校の授業だもん、基本的にさらりと説明するだけで進行はめちゃめちゃ早い。

 必死に授業を聞いて家で勉強して、定期テストでやっと赤点を回避できるくらいだった。

 奇跡が起こって平均点くらいを取れることもあるけど……。

 というわけで、今黒板に書かれている難問を、上の空だった私が答えられるわけなんてないのだ。