「ゆずをふわふわさせられるのは俺だけだから。……こちらこそ、今後もよろしく。ずっと一緒にいような」

「うん……!」

 りっちゃんの言葉が心底嬉しくて、私は弾んだ声を上げる。

 今まで以上に甘い言葉を言われる頻度が増えそうなのは、嬉しいような怖いような気持ちだけど。

 すると急にレストランの照明が暗くなった。

「え? 何……?」

 何事かと、私が辺りを見渡すと。

 ハッピーバースデイのミュージックが流れてきた後、厨房から光る何かを持った店員さんが出てきた。

 店員さんが私たちのテーブルの方へ近寄ってきて、その何かがろうそくのついたケーキだったのが見えた。

「え、まさか……?」

 驚きのあまり、私が戸惑っていると。

「柚葉さん、お誕生日おめでとうございます!」

 テーブルにケーキを載せ、店員さんが大きな声でそう言った。

 それと共に、周囲からは拍手や「おめでとー!」という声が聞こえてきた。

 テーブルの上のケーキには「HAPPY BIRTHDAY YUZUHA」って書かれたチョコレートのプレートが乗っかっている。