あっさりとしたサーモンと野菜の前菜も、柔らかくて口の中でとろけるようなメインの肉料理も、信じられないくらいおいしかった。

 きっと、大好きなりっちゃんと談笑しながらの食事だから、余計おいしいんだろう。

 そしてあとはデザートのみというところで、りっちゃんが神妙な顔になって口を開いた。

「ゆず。玲奈のことだけど」

「……うん」

「玲奈には改めてちゃんと言ったよ。俺が好きなのはゆずだって。玲奈のことは、妹としか思ってないって。……すっげー怒られたけど、あいつも馬鹿じゃないから。たぶんそのうち分かってくれると思う」

「そっか……」

 その時の光景を、私は想像してしまった。

 従妹同士で付き合いの長いふたりは、お互いを家族のように思っているはず。

 だけど玲奈ちゃんには恋愛感情があって、りっちゃんにはそれが生まれなかった。

 失恋した玲奈ちゃんはもちろん辛かっただろうし、りっちゃんだって傷ついた玲奈ちゃんを見るのは心が痛かったと思う。

 ――でも、だからこそ。

 私はちゃんと自分の気持ちをりっちゃんに伝えなければならない。