「うん。ここ景色もきれいだし、料理もすごくおいしいんだって。俺も一度来てみたかったんだ」

「ご、豪勢すぎない? 大丈夫?」

 さすがにお祝いのレベルが高すぎて、思わず聞いてしまう。

 するとりっちゃんは笑って首を横に振った。

「あはは。ゆずは心配性だな。まあアルバイトしたし、お金は大丈夫だよ。それにここ、学生向けのコースは目が飛び出るほどの金額じゃないよ」

「そ、そうなんだ……」

 学生向けのコースがあるらしいことに、私はほっとする。

 それならやっぱり、素直にりっちゃんのプレゼントを喜ぼう。

 りっちゃんと一緒に楽しもう。

 ふたりで店内に入り、店員さんに案内されたのは一番窓側の席だった。

 お店に入る前に見えた鮮やかで美しい夕焼けが、ますますきれいに見えた。

「わあ……。すごくいい景色だね!」

 私が感嘆の声をあげると、りっちゃんは嬉しそうに微笑む。

「最上階だし、せっかくだから外が良く見える席がいいと思って。ゆずが気に入ってくれてよかった」

「うん! ありがとう」

 そんな風に会話を弾ませながら、頼んだコースの料理を味わっていく私たち。