そして「まったくこんな時間まで何してたの⁉」とか「塾の授業が終わったらまっすぐに帰ってきなさいっていつも言ってるでしょっ」なんていう、ふたりの親からの説教を食らった。

 だけどゆずが一緒に怒られてくれたからか、反省したような顔はしたものの内心平然としていた。

 まあ、ゆずは「あわわ……。ご、ごめんなさい」なんて泣きそうな顔で言っていたから、だいぶダメージを受けていたようだけど。

 そしてひと通り説教を食らったせいか、模試の結果が悪かったことについてはうやむやになり、それについて俺が両親に怒られることはなかった。

 この日を境に、俺はゆずのことが好きになった。

 それまでも、素直でかわいい子だしほんのりと好意はあった。

 でもこの日、落ち込んでいた俺を励まそうと遊びに誘ってくれたゆずの優しさに、俺は一気に心が惹かれてしまったんだ。

 俺よりも精神年齢が幼いゆずは、まだ恋を知らないようだったから、俺は今まで通り仲のいい友人として振る舞った。

 でも実は、小学五年生の時から俺はゆずに深く恋をしていたんだ。