それほどまでに、ゆずの純粋そうな笑顔と手の温かさは、俺に安心感と楽しさを与えてくれたんだ。

 公園に到着したら、俺たちは時間を忘れて目いっぱい遊んだ。

 ブランコでどっちが早く漕げるか競争したら、俺があっさり勝ってしまった。

 ゆずの「りっちゃん早すぎるよ~」というちょっと不貞腐れた顔がかわいかった。

 鉄棒では、まだ逆上がりができないというゆずにコツを教えてあげた。

 するとゆずは、不格好ながらも自力で逆上がりを成功させた。

「生まれて初めてできた! りっちゃんのおかげだよっ」とゆずは瞳をキラキラと輝かせた。

 ジャングルジムの一番上にふたりで登って、沈む夕日を眺めた。

 とてもきれいで、ゆずは俺の隣で「うわあ……」と感嘆の声を上げていた。

 だけど実は俺は、夕日よりもゆずの横顔ばかり見ていた。

 夕日も美しかったけど、俺にはゆずのかわいい横顔を見ている方が気持ちが安らいだんだ。

 その時、すでに帰宅予定時間を大幅に過ぎていた。

 模試の結果が悪かったうえに、時間通り帰らないなんて。

 こりゃ、両親には相当こってり絞られるだろうなあって思った。