確かにゆずがこの成績を取ったら喜ぶレベルなのかもしれない。

 なんだか気まずい気持ちになって、俺は曖昧に笑った。

 ――すると。

「あっ、でも確かに前よりは下がってるんだね。うわー、ってか前が良すぎる! 全国一位の科目もあるし……! りっちゃんすごい!」

「うん。前よりかなり下がっちゃったんだよ。うちの親結構厳しいから、怒られるかなってちょっと不安になってた」

 ため息交じりに俺は言う。

 両親は理不尽に怒るようなことはないし、テストの時に体調が悪かったって事情を話せば理解してくれる気はする。

 でも点数が悪かったからって具合のせいにするのは、なんだかかっこ悪い気がして言いたくなかった。

「あ、そうだったんだ……。それは元気もなくなるよね」

 俺の気持ちを分かってくれたようで、ゆずは納得したような顔をした。

 ゆずが同調してくれたことで少しは気はまぎれたものの、両親にこの模試の結果を渡す場面を想像すると、やっぱり気が重い。

 あー、帰りたくないな……。

 俺がそんな気持ちになっていると。

「りっちゃん。塾の前の公園で遊ぼうよ」