その後、俺は小学生の時のゆずのことを思い出していた。

 今と同じで、とても素直でよく笑うかわいい子だった。

 算数が苦手で親に塾に入れられたと言っていたゆずは、塾での勉強がとても大変そうで「ひー、宿題終わらない~」なんて、よく悲鳴をあげていた。

 だけどいつも一生懸命で、分からないところがあれば積極的に先生に質問したり、残って勉強したりしていた。

 俺もよく先生に質問しに行っていたので、ゆずと一緒になる機会が多く、それで自然と仲良くなった。

 のんびり屋でおっとりしているゆずは、いじめっ子に泣かされたり塾の授業についていけずに落ち込んだりと、なかなか手のかかる子だった。

 だけど、純粋で喜びや悲しみが素直に顔に出てしまうゆずと一緒に居るのは、とても楽しかった。

 そんなゆずに俺が恋心を抱いたきっかけは、とても些細なことだった。

 ある時、俺の模試の結果が珍しく悪かった時があった。

 そのテストを受けた時にちょっと体調が悪かったせいか、普段からは考えられないような偏差値と点の悪さに俺は落ち込んだ。