俺がゆずが抱いている気持ちは、玲奈が俺に抱いている気持ちと一緒だって。

 つまり、何が何でも揺るがない「好き」という想いだということを。

 だけど感情が追い付かないようで、玲奈はぽろぽろと涙を流し始めた。

「そ、そんなのっ……。そんなの、好きになるわけっ……!」

「そうだろ。俺もそうだよ。ゆず以外の子のことは絶対に好きになれない」

「何よそれっ……! なんなのよっ。もう律の馬鹿! 嫌い嫌い大嫌い! なんでそんなに柚葉ちゃんのことが好きなのっ!」

 嗚咽交じりに玲奈が叫ぶ。

 人目もはばからずに号泣する玲奈を見て、心が痛まなかったわけではない。

 もし俺だって、ゆずに同じようなことを言われたとしたら。

 たぶん正気ではいられないだろう。

 ――だけど、俺にはどうすることもできない。

 自分の気持ちだというのに、恋というやつはコントロールできない。

 同時に、他人の恋心を無理やり自分に向けさせることだって、不可能なんだ。

 玲奈は身に染みてそれが分かっているはずだ。

 だけど気持ちのやり場が見つからなくて、泣き叫んでしまっているのだろう。