野暮用を終えた俺は、家に帰るなりすぐに自室へと入った。

　慣れないことをしたせいか、体は疲労困憊だ。

　ゆずと一緒に帰れなかったことで心も疲れているのかもしれないが。

　毎日楽しみにしている時間だからな。

　だけど、そんな時間を犠牲にしてでも俺はその野暮用を行わなければならなかった。

　来週にある、ゆずの誕生日を盛大に祝うために。

　ベッドに寝転がり、誕生日の段取りについて俺が考えていると。

　ノックもせずにドアが開く。

　入ってきたのは玲奈だった。

「ノックくらいしてよ、玲奈」

　俺は寝そべったまま顔をしかめて言う。

　別に玲奈が部屋に入るくらい構わない。

　玲奈はもう、俺にとって妹みたいな存在だし。

　だけどさすがにいきなり入られるのは、年頃の男子としては困ることもある。

　玲奈は何も答えず俯いたまま近寄ってきた。

　いつもの能天気な様子とはまるで違っている。

　不審に思った俺は、ベッドの上で身を起こした。

　――しかし。

「……玲奈、何？」

　そんな俺の上に、玲奈が覆いかぶさってきた。