「さっきの私の話、まだ途中だったの。私はずっとりっちゃんに恋をしてるんだ。六年間、ずっと。女の子だって思い込んでた時から。最近やっと気づいたんだけど……」

「え……」

 玲奈ちゃんが呆然とした面持ちになり、立ち止まった。

 だけど私は彼女を見つめて、強い言葉でこう言った。

「だからりっちゃんのことは玲奈ちゃんには譲れない。そんなことできない。……したくない」

 玲奈ちゃんはしばらくの間、唖然とした顔で私を見つめ返していた。

 たぶん、玲奈ちゃんには自信があったんだ。

 いくらりっちゃんが私を好きだとしても、私がりっちゃんを好きじゃなければ奪う自信が。

 だから私がりっちゃんの嫁、っていう話を聞いたときも、一瞬鋭い視線を送るくらいで、平然としていられたんだと思う。

 りっちゃんは六年間も私のことが好きだったけど、まさか相手の女の子まで想い続けているわけなんてないっていう風にも、思っていたみたいだし。

 私だって、もし他人事ならきっとそう思う。

 六年間も会っていないのに、想い合っているふたりなんているはずがないって。