離れていた六年間も、男の子と付き合うなんて考えもしなかった。

 そんなことをしたらりっちゃんと再会した時に遊ぶ時間が減っちゃうから嫌だなって思っていたくらい。

 りっちゃんを好きな者同士だからか、さっきから玲奈ちゃんの言葉は深く胸に刺さる。

 正直、聞いていて楽しかった。

 ――だけど。

「それでね。私はアメリカにいた頃から律にずっと猛アタックしてたんだけど……。全然律は振り向いてくれなくて。恋愛に興味ないんだろうなって、思ってたの。……でもまさか、ずっと好きだった人がいただなんて」

 話しているうちに、玲奈ちゃんの声がどんどん真剣みを帯びてくる。

 玲奈ちゃんの変化に私は顔を強張らせた。

「さっき、ふたりのクラスの男子が言ってたじゃない。柚葉ちゃんが律の嫁だって」

 玲奈ちゃんはまだ笑みこそ浮かべていたけれど、頬を引きつらせていた。

 ――やっぱり、玲奈ちゃんはそのことを気にしていたんだ。

 アメリカから追いかけてくるくらいりっちゃんを好きな玲奈ちゃんが、気にしないはずなんてない。

「――うん」

 嘘はつきたくなくて、私は素直に頷いた。