その日の放課後。

 昨日言われた通り、りっちゃんには外せない用事があるとのことで、私はひとりで教室を出た。

 ってか、用事ってなんなんだろう。

 昨日軽く聞いたんだけど、「野暮用だよ」ってりっちゃんは答えるだけで、詳細は教えてくれなかったんだよね。

 そういえば先週も二回くらいりっちゃんにそんなことを言われて、一緒に帰れなかった日があったなあ。

 最近何度もあるりっちゃんの野暮用って、一体何なんだろう。

 昨日はまだ玲奈ちゃんが現れる前だったということもあり、特に気に留めなかったけれど。

 玲奈ちゃんのことでモヤモヤしっぱなしの私は、りっちゃんの用事について気になってきてしまっていた。

 そして、ため息をつきながら校門を出た時だった。

「柚葉ちゃん!」

 高くてキュートな声で名前を呼ばれた。

 こ、このかわいい声は、まさか。

「れ、玲奈ちゃん」

 そう。

 私のもやもやの原因である、玲奈ちゃんだった。

 ……って、別に玲奈ちゃんが何か悪いことをしてるわけじゃないけど。

「確か家が同じ方角だよねっ。ね、一緒に帰ろうよ~!」

 明るい声で誘ってくる玲奈ちゃん。