反応が怖いけどどうしても気になって、私は恐る恐る玲奈ちゃんを注視してしまう。

　顔を上げた玲奈ちゃんは、意外にも笑顔だった。

　だけど、りっちゃんに瞳を輝かせながら浮かべていたそれまでの笑みとはまるで違う。

　引きつった頬、不自然に上がった口角は、作られた笑顔にしか見えない。

　するとちらりと玲奈ちゃんが私の方を見てきた。

　私はハッとするも、玲奈ちゃんと目が合ってしまう。

　瞬間、玲奈ちゃんの大きな瞳が鋭く光った。

　その刺々しさに、私は思わず身をすくませる。

　だけどそれはほんの一瞬のことで、すぐに玲奈ちゃんは私から目を逸らして再びりっちゃんの方を見た。

「ねー律。今日一緒に帰ろ～」

　今までの話なんてなかったかのように、上目遣いでかわいらしくりっちゃんを誘う。

「今日は用事あるから無理」

「えー！　じゃあ待ってるからっ」

「いやマジほんと無理。先帰って」

「何よもう～！」

　りっちゃんに軽くあしらわれて、不貞腐れた顔をする玲奈ちゃん。

　そういえば、今日は用事があるから一緒に帰れないって、私にも昨日りっちゃんが言っていたっけ。