「うちのクラスは俺が転入してきたばっかりだから。ひとつのクラスにばっかり転入生が続くなんて変じゃん。それに従兄妹同士を同じクラスにするってのは、いろいろまずいんじゃないの」

 りっちゃんが冷静な返答をする。

 遠くで玲奈ちゃんを見ているだけで頬を赤らめている男子が多数いるというのに、りっちゃんはいつも通りクールだった。

 本人の言っている通り、玲奈ちゃんに従妹以上の感情は抱いていないんだろう。

 ――たぶん。今のところは。

「そうかもしれないけどさ~。私は律と一緒のクラスが良かったの!」

「家でも一緒だから学校まで一緒なのはうざい。疲れる」

「何よー! 相変わらずドライな男なんだからっ。……でもそこがいいんだけどね!」

 りっちゃんはやっぱり普段通りだったけど、玲奈ちゃんは心から楽しそうだ。

 本気でりっちゃんを好きなんだろうなって、見ただけで分かる。

「……ちょっとゆず。あの子なんなの? さっき、律くん『家でも一緒』って言ってなかった……? 私の聞き間違い?」

 美緒がしかめ面で、玲奈ちゃんを眺めながら言う。