そんなに魅力的だと、りっちゃんが好きになっちゃうんじゃないかって心配になってしまうよ。

 玲奈ちゃんが先に家に入ると、りっちゃんは「やれやれ」といった表情で、それに続こうとした。

 でも家に入る間際、私の方を見てこう言った。

「あ、ゆず。玲奈はただの従妹で、それ以上でもそれ以下でもなんでもないから。俺は何とも思ってないから」

 私をじっと見つめて、りっちゃんがはっきりと言った。

「……え」

「俺が好きなのはゆずだけだから」

 私の動揺を知っているのかいないのか。

 りっちゃんはそう断言して、家の中へと入って行った。

 その言葉のお陰で、少し前まで胸を支配していた不安が萎んでいく。

 ――だけど。

 家の中から、高い女の子の声とそれに短く返事をする男の子の声が微かに聞こえてくる。

 私の知らない、自宅でのりっちゃんと玲奈ちゃんは過ごしている。

 胸の不安は、完全には消えてくれなかった。