うわっ、かわいい……。

 私は思わず息を呑む。

 その子は近くで見るとますますかわいかったんだ。

 顎の長さで切りそろえられた、真っ黒で艶やかな髪。

 折れそうなくらいに細い手足。

 新雪のように白くて滑らかな肌。

 そしてくりくりとした大きな瞳と小さな鼻と口は、まるでテレビや雑誌の中にいるアイドルのよう。

 この子、今「律」って叫びながらこっちに来たよね……?

 りっちゃんの知り合いってこと?

 りっちゃんは、突然現れた美少女に何か言おうと口を開いた。

 ――だが。

「会いたかったー!」

 りっちゃんの言葉が発せられる前に、なんとその美少女はりっちゃんに勢いよく抱き着いたんだ。

 驚きのあまり、私は呆然としてしまう。

 えっ、だ、誰なのこの子⁉

 りっちゃんとはどういう関係なんだろ……?

 するとりっちゃんは「はあ……」と深く嘆息した後、美少女の抱擁からするりと抜け出した。

 ――そして。

「……玲奈。いつも出会い頭に抱き着いてくるの、やめろよ」

 顔をしかめて、呆れた声で言う。

 だけどその子を毛嫌いしている感じには見えなかった。