これ以上目を合わせられたら敵わないと思った私は、慌てて目を逸らした。

 ――すると。

 私の頬に温かく、優しい何かが触れた。

 りっちゃんの手のひらだった。

 急に触られたことに驚いて硬直してしまう私。

 しかしりっちゃんは構わずに、手のひらで私の頬やおでこ、首を次々に触っていく。

「うーん。熱は無さそうだけど。なんでそんなに顔赤いの」

 必死に目を逸らしたというのに、私の顔を覗き込んでくるりっちゃん。

 触れられた上に至近距離から視線を重ねられ、もう私はゆでだこ状態。

 頭から煙が出そうだった。

「そ、それは……」

 パニック状態の私は、もう言ってしまいそうになっていた。

 りっちゃんのことが好きすぎるから、赤くなっちゃう!って。

 でも、言葉の続きを言おうとしたその時。

「律――――!」

 高くてかわいらしい女の子の声が、少し遠くから響いてきた。

 私はハッとして声のした方を向く。

 私たちの方に向かって走り寄ってきているその小柄で華奢な女の子は、遠目からでもすごくかわいいことが分かった。

 私たちの目の前で足を止める彼女。