「すごい人気だねえ、律くん」

 三時間目の休み時間になっても、人だかりができている私の隣の席を見て、美緒が少し呆れたように言った。

「う、うん……」

 私は曖昧に笑って返事をする。

 授業時間以外、りっちゃんはずっと人に囲まれているから、私はいまだに彼とちゃんと話しができていない。

 「絶対に離さない」ってどういう意味?

 やっぱり、彼女としてってこと……?

 そう聞きたい私だったけれど、さすがに授業時間にそんなことを聞く勇気は持てなかった。

「まあ、これだけかっこよければ仕方ないかあ。めちゃめちゃ綺麗な顔してるもんねー。女の子にしてもおかしくないくらいだよ」

 美緒が何気ない口調で放った言葉に、ドキリとさせられてしまう私。

 そうなんだよ、私だってついさっきまで女の子だって思ってたんだから。

 りっちゃん、本当に完璧に整った顔をしているもんね。

 りっちゃんの周りで興奮した様子で彼に質問をするクラスの女子たちは、みんな瞳を輝かせている。

 りっちゃんに一目惚れしちゃった子とかも居そうだなあ。

 これだけイケメンならモテモテだろうな……。