去年、あんなにしつこくつきまとわれたというのに、少し優しくされただけで信じちゃう自分が、本当に馬鹿みたいだ。

 そう反省する私だったけど。

「ま、ゆずのそんな純粋なところも俺は好きなんだけどね」

「え……!」

 不意に放たれた口説き文句に、私は思わず立ち止まってしまう。

 どぎまぎしている私に向かって、りっちゃんが優しく微笑みかけてきた。

「まったく。昔から俺がついてないと、本当にダメなんだから」

 甘やかすようなりっちゃんの言葉に、私の胸が高鳴る。

 ――りっちゃんは、いつだって私を助けてくれる。

 小学生の時にいじめられた時だって、高校生になって健吾くんに迫られた時だって。

 私がピンチになると、いつもりっちゃんは颯爽と現れてくれる。

 ほ、本当に私、りっちゃんがいないとダメなのかも……?

 常に私を何よりも大切にしてくれるりっちゃんの行動に、そう思わされてしまった。

 ――だけど。

「ダ、ダメじゃない、もん……」

 「私、りっちゃんがいないとダメ!」なんて言うのは恥ずかしかったし、認めたくなかったので私は反論した。