カラオケ店を出て、りっちゃんとふたりで歩いていたら。

「危ない目に遭わせてごめん。ゆずをつけてはいたんだけど、あまり近づくと気づかれるからちょっと離れてたら、カラオケでふたりが入った部屋が分からなくなっちゃって。本当に、ギリギリだったなあ」

 りっちゃんが心底申し訳なさそうに言った。

「そうだったんだ……。でも、りっちゃんはちゃんと助けてくれた。ありがとう」

 確かにもう少し遅かったら健吾くんにキスされちゃうところだった。

 でも結局間に合ったんだし、結果オーライだよね。

 それに危ない目に遭ったのは、私が簡単に健吾くんを信じちゃったせいだし……。

 自業自得のところをりっちゃんが救いの手を差し伸べてくれたのだから、感謝の気持ちしかない。

「そっか。それにしてもあいつ、気に入らないとは思ってたけど考えていた以上にやばい奴だったな」

「そ、そうだね……」

 去年はストーカーだったし、今年は改心したかと思えばナンパの仕込みやらいきなり襲い掛かって来るわで。

 りっちゃんの言う通り、健吾くんは「やばい奴」だった。