頭痛と立ちくらみ⁉

 なんだろう、風邪?

 貧血とか……?

 顔色は別に普段と変わらないように見えるけど、苦しいのかな。

「ど、どうしよっか。お、お家は近いの?」

 早く家に帰って休むのが一番いいだろうと思った私は、そう提案した。

 しかし健吾くんは、しゃがみ込んだまま首を横に振った。

「いや……。こっからだとまだ結構歩くんだよね」

「そっか……。歩いて帰るのはきつそうだよね……」

「――うん。どこか静かなところで、少し休めば治ると思うんだけど」

 そう言われて、私はキョロキョロと辺りを見回した。

 静かに休めそうなところ……。

「健吾くん。カフェならいくつかこの辺にあるみたい。どれかに入って休むのはどう?」

 私たちが歩いていたのはちょうど駅前の繁華街だったので、静かそうな飲食店がいくつかあった。

 そこで温かい飲み物でも飲んで休憩するのがいいんじゃないかって思った。

 ――しかし。

「うーんカフェか……。カフェより、カラオケがいいな。ほら、ちょうど目の前にあるし」

 しゃがんだままの健吾くんは、視線を数メートル先のカラオケ店へと向ける。