そう言って、いつもの爽やかな笑みで私の隣へとやってくる健吾くん。

 りっちゃんと気まずくなってしまって、へこんでいた私にはそれが嬉しかった。

 その後は今日の出来事とか、最近ハマっているものとかを楽しそうに話してくれる健吾くん。

 りっちゃんとの喧嘩について、健吾くんが突っ込んで聞いてくることはなかった。

 私が話さないから、言いづらいことなんだろうって察してくれたんだろう。

 実際にりっちゃんと気まずくなった原因である本人に説明するわけにもいかなかったから、そんな健吾くんには助かった。

 ――ほら、やっぱり健吾くんいい人じゃない。

 明日、もう一度りっちゃんに説明してわかってもらおうかな……。

 なんてことを考えながら、健吾くんと歩いていたら。

「う……。柚葉ちゃん、ちょっとごめん……」

 急に健吾くんが苦しそうな声を上げて、その場でしゃがみこんだ。

「え!? どうしたのっ?」

 驚いた私は、彼の傍らで屈む。

「急に頭痛と立ち眩みがしちゃって……」

 私に心配かけまいと無理して笑っているのか、健吾くんは引きつった笑みを浮かべている。